【本の感想】殊能将之 『鏡の中は日曜日』

殊能将之『鏡の中は日曜日』 講談社講談社文庫電子書籍版)、2004年発行を読みました。

『鏡の中は日曜日』は、『美濃牛』、『黒い仏』に続く探偵石動シリーズの第三作目です。
講談社ノベルズ創刊二十周年記念の密室本として刊行された『樒/榁』も収録されています。

☆☆

『鏡の中は日曜日』は情報の整理が追い付かないせいか、爽快感ではなく戸惑いが残る読後感です。

『樒/榁』は緊張感のないミステリーです。『鏡の中は日曜日』に続けて読むと楽しいファンサービスだと感じました。

『鏡の中は日曜日』は戸惑いが残る読後感

帯にあるような驚きはあって面白いのですが、物語が完結したところで戸惑いしか残りませんでした。これは、過去と現在と作中作が入り乱れる構成ということと、トリックを見破るための知識がなかったからです。

時間軸が移動し、視点が移動しても続いて違う話のように見えないという点では見事です。見事過ぎて情報の整理が追い付かず、「……えーと?」となってしまいました。

館物、密室物のメタ的なところや、名探偵石動の道化っぷりは健在です。シリーズを追うごとにその道化っぷりに磨きがかかっているような気がします。

『樒/榁』はファンサービス

続けて読むと楽しいファンサービスです。過去と現在の名探偵の推理と全体的にのんびりした内容、過去と現在のニアミスなど推理を楽しむのではなく、その組み合わせを楽しめます。

題名からしてひねっています。樒も榁も木編をとれば密室です。内容含め題名も確かに密室本です。そういうお遊びがあり、ファンサービスがある、ちょっと楽しめるお話です。

さいごに

凝り過ぎてよく分からない本でした。構成は面白く、過去と現在の対比にあるズレが面白いです。そのため、つまらないわけではありません。

作中作が面白味に欠けて肌に合わないことも、そう感じた原因かもしれません。特にマラルメ関係についていけませんでした。

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