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【本の感想】スコット・ウエスターフェルド 『リヴァイアサン クジラと蒸気機関』 小林美幸訳

スコット・ウエスターフェルド 『リヴァイアサン クジラと蒸気機関』 小林美幸訳、早川書房ハヤカワ文庫SF)、2013年発行を読みました。

原題は『LEVIATHAN』です。副題は日本オリジナルです。

2010年ローカス賞 ヤングアダルト部門を受賞しています。

物語は三部構成で『リヴァイアサン』、『ベヒモス』、『ゴリアテ』と続きます。

☆☆☆☆

第一次世界大戦を舞台にした架空戦記です。史実と異なり、遺伝子操作をした獣を基盤とするイギリスらダーウィニストと機械工学を発展させたドイツらクランカーが二大勢力になっています。その世界観が面白いです。さらに、その世界観を支える様々な挿絵が魅力的で物語を盛り上げます。

大公の息子と男装少女の二人の視線で交互に進む物語はテンポがよく楽しめます。

魅力的な世界観

ダーウィニストとクランカー、どちらも魅力的なのですが、特にダーウィニストの遺伝子操作をした獣たちのインパクトが絶大です。描写から十分想像できますが、挿絵がさらに不気味さとリアルさを補ってくれます。そのため、本書で描かれる世界に一気に没入してしまいます。

クランカーの多脚ロボットも魅力があります。その見た目、鋼鉄と油と煙が織りなす無骨さは想像に難しくありませんが、イラストで見るとさらに魅力が増します。

一方で、人物の描写はそうではありません。二人の主人公はどちらもなんとも言えない姿で描かれています。特に表紙のとのギャップは大きく戸惑います。

テンポの良い物語

ボーイミーツガールものです。対照的な二人が世界と大人に翻弄される姿は困難と危険と甘さと現実が混じり合っています。甘さ故に危険が迫り、現実と困難を突き付けられますが、それでも前に進んでいきます。

少年と少女、ダーウィニストとクランカー、大人と子どもなど複数の異なりの中をそれぞれの視点で進んでいくためか、狙われる立場であり常に敵に追われているためか、物語の進行が早く感じます。

さいごに

圧倒的な世界観にスピーディな物語が面白いです。ローカス章受賞は伊達じゃ無いですね。

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