【本の感想】桜坂洋 『スラムオンライン』

桜坂洋 『スラムオンライン』 早川書房ハヤカワ文庫JA)、2005年発行を読みました。

☆☆☆☆

対戦型格闘ゲームに夢中だったあの頃を思い出せてくれます。

ストイックに追い求める姿が求道者のようで面白いです。

あの時の熱量を思い出す

作中はオンラインですが、まだまだそうでなかったゲームセンターの熱量を思い出させてくれます。キーワードはたくさんあって「聖地新宿」「10年早いんだよ」「ロードブリティッシュ」「小足見てから余裕でした」などです。

分からなければそれまでですが、格闘ゲームに触れていたら、あの時代の人なら分かる言葉が懐かしいです。100円を置いて順番を待っていたあの時代です。

ストイックにゲームを続けるかっこよさ

キーワードだけでも懐かしいですが、堅い乾いた文体にはハードボイルドの匂いがあるため、追い求める姿がかっこよく見えます。

自分の内側に餓えを見つけ、腹を満たすためにさらに追求していく姿はかっこいいです。それでいて、バーチャルなゲームの世界にとどまらず、リアルの世界にかえってきます。目標を決めて、目的を達成したらそれで終わって元の世界に戻るわけです。

どこまでもハードボイルドの匂いがします。

さいごに

今、発展しつつあるe-sportsの原点がここにあるといえば大げさかもしれませんが、賞金なんか無関係に、ただ強くなるために強いやつと戦うために時間を捧げた人がいて、徹底的に強くなるために、強いことを証明するために戦い続ける姿がここにあります。

本書は、ゲームとともに育ちゲームをやりながら大人になった世代の青春小説です。知っていればより面白いし、知らなくてもそのやりこむ姿と主人公の哲学から熱量を感じられると思います。

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