【本の感想】三浦しをん 『神去なあなあ日常』

三浦しをん『神去なあなあ日常』 徳間書店徳間文庫)、2012年発行を読みました。

☆☆☆☆

田舎と林業を舞台に、自然と神様に寄り添って生活している様が面白いです。
主人公の青年を通じて得られる追体験は都会に住んでいると得難いものです。
主人公の目線に嫌らしいところがなく、性根がまっすぐなため読んでいて楽しいです。

自然と神様が寄り添う神去村

携帯の電波はほぼなく、娯楽施設どころかコンビニもありません。あるのは自然だけです。その分、自然が日常に同居しており、人間ではどうにもならない世界があり、そのどうにもならないところに神様を感じる生活になっています。

主人公は林業見習いを通じて、田舎の生活や仕事を通じて自然の大きさと田舎の生活、その周辺に当たり前のようにある神様の存在を感じることになります。

自然以外なにもない分、神事があり、祭りがあり、それらが楽しそうに、時にはダイナミックに描かれているところは、都会に生きていると忘れている何かを思い出せてくれます。

都会から来た主人公

本人もよくわからないうちに林業で見習いをすることになっています。はじめこそ、村から逃げだそうとしますし、初めてのことで自信を失って嫌になることもあります。しかし、村と仕事はそんな嫌なことを包み込んでくれます。

都会ではありえない、馬鹿にしたくなるようなこともあって軽いツッコミはありますが、そこには驚きだけで嫌みなところはなく、読んでいて不快な感じがしません。むしろ、それからどうなるんだというわくわく感が伝わってくるため読んでいて楽しいです。

この陽気さに救われているような気がします。田舎の話は誰が見ているか分からない人間関係が暗いものや、不便な話になりがちですが、そういうものはそういうものと受け入れてさらっと流しています。気に病まず、村の「なあなあ」に馴染んでいく様が面白いです。

さいごに

田舎ファンタジーといえばそれまでですが、神去村は良いところです。自然が日常にあり、神様を感じることもできる世界はいつの間にか遠くなってしまったと感じている身としては、読んでいて楽しかったです。

とりあえず緑の多い山へ行きたくなります。

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