【本の感想】幕内秀夫 『粗食のすすめ 新版』

幕内秀夫 『粗食のすすめ 新版 「本物の健康」をつくる「正しい食事」』 東洋経済新報社(プレミア健康選書)、2010年発行を読みました。

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1995年に発刊された『粗食のすすめ』に加筆・改筆・削除をして再編集したのが本書です。栄養素に振り回されず、「FOODは風土が決める」として、お米をよく食べていた戦前の日本食をすすめています。

私は本書の新潮文庫版に感銘を受け、ある程度、粗食を実践しています。

論拠は乏しいが説得力はある

何か科学的な論文が示されていることはありません。1982年のアメリカの報告と、近藤正二の著書『新版 日本の長寿村・短命村』と、著者の経験が土台となっています。それが悪いのかというとそうではありません。見方の問題です。

日本人は昔から日本で暮らしています。昔からの食生活は、ふぐやきのこの毒のように、人体実験の歴史であると言えます。そして昔は科学的な証明はなくても暮らしてきました。

現代はそこに食生活のバランスや栄養素などが語られるようになっていて説得力があるように思えるですが、栄養素は全てが解明されていません。基準値は時代とともに変化を続けています。マスコミは一部だけを取り上げて健康に良い、悪いを喧伝してブームを作っています。

そのような状況でよく分からないことに振り回されるのであれば、昔ながらの食の知恵、つまりはその土地でとれていた季節のものを食べれば良いのではないか。

……ということです。これらのことを愛国心多めで語っています。

日々、食生活の良い悪いはアップデートされています。十五年前の本が新版として登場しているのですから、説得力はそれなりにあると思います。

愛国心は裏返し

愛国心は欧米型への対応の裏返しだと思います。欧米型の食事がもてはやされ、日本では今まで少なかった病気が欧米、特にアメリカと同じ道をたどって増えているにも関わらず、欧米型がもてはやされていることが著者にとって苦々しいのでしょう。

いずれにしろ、未解明な部分の多い栄養素を信仰し、食源病を招く食生活を受け入れ、カロリーはあるのに栄養失調になる状態を考えると、著者の主張する「以前のような食生活にしよう」というのは間違っていません。

実践して食源病を遠ざけても成果は目に見えては分かりません。しかし、昔はほとんど無かった病気が今流行っていることを思うに説得力はあります。そしてなにより分かりやすいです。

ちなみに、目に見えて分かるのはたくさん糞便が出るようになることと、その糞便が臭くないことです。食が身体をつくるとはいえ、身体は色々な要素が重なって出来るものですから、証明しようがなく、目に見えて分かるとというのもありません。

たくさんの糞便が出ることを、栄養を吸収しきれていないと考えるか、身体に悪いものを早く出していると考えるかの違いだと思います。

アメリカの指針と「食源病」を防ぐ10ヵ条

アメリカの指針と「食源病」を防ぐ10ヵ条は以下の通りです。「健康的な生活をおくる」や「肥満、メタボリックを解消する」などで見たことがあるようなことが書かれています。

1982年、アメリカ指針

以下は47-48ページからの引用です。

  • バラエティーに富んだ食事をとろう
  • 望ましい体重を維持しよう
  • 脂肪、飽和脂肪、コレステロールをとりすぎないようにしよう
  • デンプンと食物繊維をしっかりとろう
  • 糖分をとりすぎないようにしよう
  • ナトリウムをとりすぎないようにしよう
  • アルコールを飲むならほどほどにしよう

「食源病」を防ぐ10ヵ条

以下は75-78ページの抜粋です。本書では項目ごとに説明が書かれています。全て引用すると長くなるのでここでは書きません。

  • 一条 一日に二回はご飯を食べる
  • 二条 飲み物で熱量(カロリー)をとらない
  • 三条 夕食は八時までに食べる
  • 四条 外食は上手に選ぶ
  • 五条 間食は食事に影響しない程度に
  • 六条 副食は季節の野菜、豆類、海藻類を中心に
  • 七条 動物性食品は魚介類を中心に
  • 八条 未精製のご飯を食べたい
  • 九条 食品の安全性にも配慮したい
  • 十条 食事はゆっくりよく噛んで

粗食のすすめ

本書に関連して季節ごとの粗食レシピ本が販売されています。それだけ『粗食のすすめ』が支持されているということでしょうか。私はレシピ本を買っていませんが、自炊をするときは本書のような粗食をしています。

例えば、週に三日くらいは、玄米、わかめとちりめんの味噌汁、納豆、たくあん、ふりかけという朝食にしています。

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