【本の感想】近藤正二 『新版 日本の長寿村・短命村』

近藤正二『新版 日本の長寿村・短命村』 サンロード出版、1991年発行を読みました。

著者は実地で実例を求めた結果、36年かけて日本全国津々浦々990町村を歩き、長寿村・短命村の昔からの生活事情を調べ、そこから長寿・短命の因果関係を調べています。

そこから良いとされている日本食がどのようなものかが分かるだけでなく、日本の多様性に触れることも出来ます。

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健康長生きの食生活は何かということや、村々の歴史が分かってくるところが大変面白いです。

長寿村の特徴

  • 白米ばかりを大食いしない
  • 肉食はほとんどしない
  • 緑黄野菜(特に人参、かぼちゃ、長芋等)を食べる
  • 海藻を食べる
  • 大豆を食べる
  • 魚は小魚を食べる

これらが長寿村の特徴です。いわゆる昔ながらの日本の粗食です。それにしても、戦前の日本人は現代と比べるとずいぶんと控えめだったことが分かります。

男女、労働、気候、酒にも触れています。海女さんなどを例にしてそれらは長寿に関係ないことが分かります。

付属の地図を見るに、一部集中している地方もありますが、長寿村も短命村も全国にまんべんなく広がっています。しかし、長寿村に分類される村は皆、どれも似たような食生活です。大変興味深いです。

歴史と文化

なぜそのような食生活なのかを聞く場面で、村々の文化と歴史に触れられています。今は村の歴史や文化を聞くことはほぼありません。その中で分かる話は貴重です。

同じ地方の漁村でも小魚しか食べない村があったり、昔からの習わしで野菜を食べない村があったり、先人が大豆を食べるよう指導したりと村の事情は様々です。中には戦国時代から続く風習もありますし、久しぶりに平家の落人というワードも見ました。

そうした歴史と文化を重ねた村々が長寿村と短命村に分かれていくというのは興味深い話です。

さいごに

これらに「科学的になぜこうなのか」はありません。しかし、愚直なまでに実地調査で積み上げた事実を元にした結論にはぐうの音も出ません。

栄養学がない時代から続く食生活、郷土食習慣は、科学的根拠が無くても積み上げた事実から意味があると反省すべきです。なぜならば、現代で推奨される健康的な食生活は長寿村の特徴と一致しているからです。

菜食主義者(ベジタリアンやヴィーガン)になるほど徹底する必要はありませんが、長寿、ひいては健康を考えるなら、本書を読んで長寿村の食生活を取り入れるべきです。

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