【本の感想】ジェフ・アボット 『図書館の美女』 佐藤耕士訳

ジェフ・アボット 『図書館の美女』 佐藤耕士訳、早川書房(ハヤカワミステリアス・プレス文庫)、1998年発行を読みました。

原題は『THE ONLY GOOD YANKEE』です。『図書館の死体』に続く、ジョーダン・ポティートシリーズの二作目です。

退屈な田舎町だったはずのミラボーに都市開発会社と環境保護の活動家、元ガールフレンドがやってきます。さらに連続爆破事件と殺人事件が発生し、退屈だった田舎町は慌ただしくなります。

面白くありません。

独りよがりな主人公

皮肉の応酬は前作同様です。主人公以外にも様々な応酬があります。アメリカの北部南部のネタが多めで、ネタのバリエーションが増えた印象です。

元ガールフレンドと現ガールフレンドに挟まれる主人公の鈍感さと独りよがりが目立ちます。例えば、彼女から元彼女のことで以下のように言われています。(p.220)

「彼女は面白い人よ。頭もいいし、女として魅力的だわ。ちょっと品のないところもあるけど。でもわたしが気になるのは、あなたの彼女を見つめる目つきなの。あなたはまだ彼女に惹かれている。いいえ、そんなことないなんて否定したって、この目はごまかされないわよ」

元彼女からのアプローチは何度もありますが、一線は越えません。それで満足しているのか、現彼女のことを忘れて「愛が分からない」と独りよがりなことを言います。そのくせ他人には潔癖なところがあり、それの指摘には鈍感です。都会から戻っていた若い男性以外に主人公の良さがありません。

さいごに

ちなみに一番面白かったシーンは彼女と元彼女が主人公のことで盛り上がるところです。主人公の恥ずかしい過去で女性陣だけが盛り上がり、主人公は完全に置いてけぼりだからです。

以下(p.134)は主人公のぼやきです。

ぼくは肩をすくめて、怪我をした腕を示した。「爆弾好きのいかれた愉快犯に、町に来た元ガールフレンド、そして殺人事件。まったく、小さな田舎町のどこが退屈なのか、教えてほしいくらいだよ」

いいところのない主人公にこちらがぼやきたくなります。

次巻は『図書館の親子』は、大人になって変わったしまった幼友達たちが印象的な話です。

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