【本の感想】ジェフ・アボット 『図書館長の休暇』 佐藤耕士訳

ジェフ・アボット 『図書館長の休暇』 佐藤耕士訳、早川書房(ハヤカワミステリアス・プレス文庫)、1999年発行を読みました。

原題は『DISTANT BLOOD』です。『図書館の死体』、『図書館の美女』、『図書館の親子』に続く、ジョーダン・ポティートシリーズの四作目にして最終作です。

親族会で待っていたのは脅迫状と歓迎しているとは思えない親族たちでした。そんな親族会で親族の一人が突如、死亡します。死因と親族を不審に思った主人公が調べて分かったのは一族の複雑な人間関係でした。

その人間関係には悪意が目立ち、主人公は独りよがりで物語はハッピーエンドになりません。

悪意ばかりが目立つ

親族会に参加する前に脅迫状が届き、親族会ではほぼ全員から歓迎されず、親族間でも悪意が渦巻いています。p109で主人公は以下のように述懐しています。

不快感で口のなかが酸っぱくなってきた。この家族はなにかがおかしい。ロリーにしてもサスにしても、たんなるからかいの度を越して、明らかに言葉の暴力、言葉の鞭だ。しかも一見してほかのみんなは、その鞭にじっと耐えている。ぼくにはその理由がさっぱり理解できなかった。

このような話が面白いわけありません。なぜならば巻を増すごとに諧謔は量、質ともに減っているからです。諧謔のない言葉の暴力、言葉の鞭は読んでいて楽しいものではないです。

好奇心は猫を殺す

主人公の空回りも目立ちます。父からもp346,p347で以下のように言われます。

「やっぱりこうなると思ったんだ。きみはいつもそうやって、自分に関係のないことに首を突っ込む」
「きみがそこまで猟犬のように家族の過去を嗅ぎまわるんだったら(以下略)」

主人公は猟犬扱いです。他にも親族から「ただの気取り屋のろくでなし」など言われています。

残念ながら主人公は頭のきれるタイプではありません。感情的ですし、すぐ結論に飛びつきます。そのくせ正義感を振りかざし、何でも知りたがります。

その結果が好奇心は猫を殺す状態になります。

さいごに

ハッピーエンドにはなりません。悪も裁かれませんし、家族は崩壊します。和解はありますが後味は悪いです。全て主人公の独りよがりが招いた結果です。

次巻はありません。シリーズを終わらせるためにわざと徹底的に貶めたのではないかと思うほどです。

駄作です。

コメント