【本の感想】池澤夏樹 『知の仕事術』

池澤夏樹 『知の仕事術』 集英社インターナショナルインターナショナル新書)、2017年発行を読みました。

作家であり詩人である著者の個人的なやりかた、「知のノウハウ」が書かれたエッセイです。

☆☆

エッセイだからか、「知のノウハウ」を公開というほど、ノウハウが伝わってきません。包み込むようなやさしい文体ではありますが、気が付けばするりと内容が抜け落ちていきます。

知のノウハウとはいうけれど

確かに書かれてはいますが、読むとするりと抜け落ちます。エッセイとして軽く書かれているからか、そういうものなのかは分かりません。なんとも物足りないです。それをして具体的にどうしてそうなるのかというがないように思います。

突然の左曲がり

p97のように突然と左曲がりの思想出てきます。日本がうるさいことの例として書かれているのですが、必然性がありません。

海外旅行から帰ってきて何が嫌って、日本がうるさいこと。空港のエスカレーターには、生まれて初めて乗るわけじゃないんだよと言いたい。あるいは路上のトラックなどの警告アナウンス――「左へ曲がります、ご注意ください」って、そんなことは分かっている。それにいまの日本で注意すべきは国ぜんたいが右へ曲がっていくことではないか。

……最後の一文は必要なのでしょうか。この一文を書くならもっと知のノウハウを深堀してほしかったのです。

さいごに

著者の「知のノウハウ」が書かれた軽いエッセイとして読む分にはいいと思います。しかし、題名の『知の仕事術』をがっつり期待すると肩透かしです。色々とされている著者ですからその術を期待したのですが、私にはそうではありませんでした。

コメント