【本の感想】半村良 『新装版 戦国自衛隊』

半村良 『新装版 戦国自衛隊』 角川書店(角川e文庫)、2005年発行を読みました。

演習中に突如、戦国時代へタイムトラベルした自衛隊が戦国時代で活躍する物語です。

☆☆☆

圧倒的な強さや爽快感よりも、守るべきものは何か、タイムトラベルをした意味は何かと内省したり、戦術を多用して敵に挑む姿や、歴史を知っていれば分かるささやかなユーモアと強烈な批判が印象的でした。

物語の展開は早く、全体的にあっさりしています。

勝ち戦は面白いもの

勝ち戦は面白いです。ただ蹂躙するのではなく、戦術を多用して優位に進んでいきます。単に「俺が最強!」ではないのが新鮮でした。一方で淡白な感じもしますが、何かを考えて行動しており、そこに自衛隊らしさがあります。

その知識の多さがゆえに圧倒的な強さがあることには変わりなく、軍事的優位と情報の優位から、できることを確実にこなしていく様に物足りなさはありますが、勝ち戦というものは何度読んでも面白いものです。

歴史的ユーモア

川中島のやりとりは、知っていれば大いに楽しめるユーモアではないかと思います。そういう意味ではなかったはずなのですが、あえて狙って笑いをとりにきた感があります。

その他にも、知っている歴史と役割が入れ替わっていることを分かりやすく伝えています。速度の速い物語なので、物語の伏線をただのユーモアだと思って見過ごしてしまい、後で気づかされるなどの楽しみもあります。

さいごに

短くスピーディに楽しめるエンタメ小説です。強さを強調するところもあまりなく、あっさりとしているため読みやすいです。それでいて自衛隊らしさも感じさせます。

そんな中、皇室を猛烈に批判するシーンは印象的でした。新装版でない初版の1978年はそういう空気だったのでしょうかね。

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