【本の感想】ゲイル・キャリガー 『ソフロニア嬢、倫敦で恋に陥落する』 川野靖子訳

ゲイル・キャリガー 『ソフロニア嬢、倫敦で恋に陥落する』 川野靖子訳、早川書房ハヤカワ文庫FT)、2017年発行 を読みました。

原題は『MANNERS AND MUTINY FINISHING SCHOOL BOOK THE FOURTH』です。全四部作の英国空中学園譚の四作目にしてシリーズ最終作です。

☆☆☆☆

一作目『ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る』、二作目『ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ』、三作目『ソフロニア嬢、ソフロニア嬢、仮面舞踏会を密偵する』の続編にして、英国空中学園譚の最終作です。

タイトル通り、恋に結末を用意し、花嫁学校を花嫁学校ごとフィニッシュし、行き過ぎた科学に歯止めをかけます。

年齢を重ねた余裕なのか、敵をあしらい、アクションはさらに激しく、各人にも結末を用意して大団円で物語が終わります。その勢いと、まとめ方が面白いです。

いかれた吸血鬼

すっかりいかれた吸血鬼の面倒を見ながら行動するのですが、この吸血鬼のいかれ具合とあしらいが面白いです。

子どもに戻ってしまったような無邪気な発言は食事に関することが多いです。それをうまくあしらい、他で対処させるやりとりは食事となる側には不幸なことですが、無邪気と狂気が混じった感があり面白いです。

中盤からの大アクション

一作目『ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る』では十四歳だった彼女も回を重ねるごとに歳を重ねて十七歳です。年相応の大胆さでピンチを切り抜けます。

ライバルとの共闘やいままで謎だった人物との共闘など、興奮する展開が続きます。最終的には花嫁学校ごとフィニッシュしてしまうアクションは、読み始めると止まりません。

特に、フィニッシュを宣言される瞬間は物語を大きく盛り上げる転換点でされるため、「あとはやるだけ」感が非常に強く出る印象的なシーンです。

英国パラソル奇譚との整合性

英国パラソル奇譚の一作目『アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う』ではロボットはいません。二作目『アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う』では飛行船で旅行しますが、英国空中学園譚の舞台の話は出てきません。その一方で、三作目『アレクシア女史、欧羅巴で騎士団と遭う』や四作目『アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂う』、五作目『アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る』で話題になる埃及と執事の話が出てきます。

本作の派手なアクションの結果、そうなるもの分かる展開で、話がうまくまとまっているなと思います。主要人物のそれぞれの人生に英国パラソル奇譚との関連を匂わせるものもあり、英国パラソル奇譚を読み終えている身としてはうれしくあります。後付けなのでしょうが、このようなファンサービスはうれしいです。

さいごに

大人びた少女の活躍と悩みは微笑ましく面白いです。そして女性が主人公らしく、英国パラソル奇譚同様、女性上位で話は終わります。相方はそれでも幸せそうなのがなによりです。

ヤングアダルトエンタメ小説、スチームパンクビクトリア朝風味。トッピングに恋愛を少々。といえばいいのでしょうか。終わってしまえば初めから最後までおてんば少女が大活躍する楽しい物語です。

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