【本の感想】ゲイル・キャリガー 『ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ』 川野靖子訳

ゲイル・キャリガー 『ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ』 川野靖子訳、早川書房ハヤカワ文庫FT) 、2013年発行を読みました。

原題は『CURTSIES AND CONSPIRACIES FINISHING SCHOOL BOOK THE SECOND』です。全四部作の英国空中学園譚の二作目です。

☆☆☆

ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る』の続編です。学園内の小さな陰謀や異世界族を巻き込む不穏な大きな陰謀、友情と恋愛、三角関係と自覚のないイチャコラなどがつまっています。

小さな陰謀大きな陰謀

とある理由から仲間外れになってしまいます。活動力のあるソフロニア嬢も多少はへこんでいるのですが、途中からは友情を取り戻します。微笑ましい話です。しかし、大きな陰謀は微笑ましくありません。

少女であるソフロニア嬢の目線では何かは分かりませんが、結果的には一人の男と吸血鬼を不幸にしてしまいますし、科学者と吸血鬼の対立など不穏な空気を醸し出します。

前シリーズの英国パラソル奇譚と比べるとオーバーテクノロジーですから、この陰謀にまつわる話に巻き込まれるであろうと思うとわくわくはします。

もちろんソフロニア嬢とその友人はその陰謀に巻き込まれて大立ち回りをするのですが、ここで登場するのがアケルダマ卿です。アケルダマ卿の立振舞いを覚えていれば、それだけで面白く感じてしまうから不思議です。

その様はいささか活動的ではありますが、相も変わらず魅力は十分です。本人が直接なにかをするわけではありませんが、『アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る』の冒頭の出来事を覚えていたので、「子供好き」というセリフで思わず笑ってしまいました。

自覚のないイチャコラ

ソフロニア嬢は自分の魅力に気づいていないという描写はあります。しかし、傍から見ればあきらかなイチャコラであり、友人にも指摘されて顔を赤くしてながら否定をしています。友情と恋愛を楽しんでいるようで面白いです。

イチャコラはさりげないボディタッチや言葉のやり取り、眼の色や目線です。男の子は端々にそのようなやりとりが描写され、我らがソフロニア嬢は三角関係でヒーロー二人から熱い視線を浴びているもてもて状態です。

本気なのか訓練なのか、友人でいたいのに、その気はないのになど様々なセリフは出てきますが、そうやって悩む姿はなんとも微笑ましいです。その一方で、「狩りの成果は?」と聞かれたら「公爵の息子よ」とひとこと答えるシーン(p360)もあったりと、その図太さもなかなかのものです。

さいごに

学園の秘密は少しずつ明らかになります。そこに小さな陰謀、大きな陰謀、友情、恋愛などが交じりながらもおてんば少女らしく学園生活を楽しんでいます。無茶活躍や大立ち回りは子どもらしい無茶なところがあって楽しく、大きな陰謀により秘密が垣間見れて面白いです。

三巻目は『ソフロニア嬢、仮面舞踏会を密偵する』です。ここでは彼女らの成長と別れ、三角関係の結末が明らかになります。

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