【本の感想】ゲイル・キャリガー 『アレクシア女史、欧羅巴で騎士団と遭う』 川野靖子訳

ゲイル・キャリガー  『アレクシア女史、欧羅巴で騎士団と遭う』 川野靖子訳、
早川書房ハヤカワ文庫FT) 、2011年発行を読みました。

原題は『BLAMELESS』です。全五部の英国パラソル奇譚の三作目です。

☆☆☆

アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う』、『アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う』に続く、英国パラソル奇譚の三作目です。前作の最後にとんでもないことになったアレクシア女史の受難は冒険とアクションに彩られています。

いつも強気なアレクシア女史も今作はちょっと弱気になっています。それでも妊婦とは思えない、いつも以上の大立ち回りを見せてくれます。

アレクシア女史の受難

夫に疑われ、女王からは役職を解かれ、社交界には冷たくされ、吸血鬼には命を狙われ、味方になってくれそうなドイツの科学者とテンプル騎士団は狂信的です。そんなトラブルしかないような苦労を重ねてヨーロッパを半横断する冒険はアクションが多く退屈しません。

アレクシア女史にしても、夫のことで常々文句を言いながらも愛していることがはっきり分かります。勝気な妊婦のツンデレです。そんな可愛いアレクシア女史を見ることができます。

そして多くの苦難にも前向きに検討している様には好感が持てます。

人狼の苦難

言ってはいけないことを言ってしまった夫、しかもそれがアルファだとなおさら誤りづらく、泥酔しているマコン卿というのはなかなか、可愛く面白いのではないでしょうか。

男性陣は、ドイツの科学者もテンプル騎士団も狂信的ですし、秘書のフルーテは味方ですが距離をとっています。

それらを思うに、人狼の苦難はベータのライオール教授の苦労を含めてどこかコミカルです。

さいごに

冒険とアクションの連続で、トラブルの種の理由も分かります。さいごはさいごは大立ち回りの脱出口と愛で幕を閉じます。

たいへんけっこう!……ではありますが、今までとちょっと毛並みが違います。なぜかというと、バカップルの直接的なやりとりがほとんどないからです。

トラブル&アクションであったり、ソウルレスの謎に迫ったり、別の面白さはあります。しかし、それはそれ、これはこれです。面白さの軸がちょっとずれているような感じがいます。

次巻 『アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂う』 では臨月間近のアレクシア女史がロンドンで活躍をします。

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