【本の感想】アヴラム・デイヴィッドスン 『どんがらがん』 殊能将之編

アヴラム・デイヴィッドスン『どんがらがん』 殊能将之編、浅倉久志・伊藤典夫・中村融・深町眞理子・若島正訳、河出書房新社河出文庫)、2014年発行を読みました。

殊能将之編集によるアヴラム・デイヴィッドスン名作集です。

エドガー賞(『ラホール駐屯地での出来事』)、ヒューゴー賞(『さもなくば海は牡蠣でいっぱいに』)、世界幻想文学大賞(『ナポリ』)の短編部門を受賞しています。

☆☆☆

奇想コレクションの一冊として刊行されただけあって、変わった話が多いです。

変わった話

短編でさっとまとめられているせいか、奇想だから「なぜそうなっているのか」と考えても無駄な変わった話が多いです。例えば、有名な『さもなくば海は牡蠣でいっぱいに』はなんでハンガーが?というのは考えても無駄で、異星からのコンタクトものとして読めば分かる?もしくは進化物?というのであれば分かる?ような気がしますが、気がするだけでよくわかりません。

もっと話が進めば別のオチがあるのでしょうが、短編として完結しているのでもやもや感が消えません。言い換えるなら、SFを少し不思議とするならそういうものかなと思います。ドラえもんと比べると大人向けで拗らせているような気がしないでもないですが。

ちなみに『尾をつながれた王族』にいたっては設定が意味不明です。

面白い短編

いくつかあります。

『物は証言できない』

皮肉の聞いたオチがいいです。

『さもなくば海は牡蠣でいっぱいに』

ヒューゴー賞受賞作。アイデアの勝利。ここからさらに話が発展すれば面白そうなのですが、短編なので続きはありません。

『サシュヴラル』

流して読むと気づかないけど、ちょっと注意して読むと分かる面白みのある話。

『ナイルの水源』

SFとミステリの序章のような話。さらに旅を続けて復讐……とはいかず、謎は謎のままです。これも続きがあれば面白そうなのですが。

『どんがらがん』

表題作。頭悪いなぁ。と読後にしみじみ感じてしまう馬鹿らしさがある。

さいごに

「それはいったい何だったんだろう?」と読み終えた後に思う話がいくつかあります。その余韻を楽しむことができれば楽しいですし、そうでなかったら困惑します。奇想とはよく言ったものです。

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