【本の感想】安部司 『なにを食べたらいいの?』

安部司 『なにを食べたらいいの?』 新潮社新潮文庫)、2014年発行を読みました。

☆☆

多くの原材料表示を例に、現在の食生活には食品添加物が非常にたくさん使われていることが書かれています。良い意味でも悪い意味でも活躍している食品添加物の活躍を、悪いイメージで書いています。

そして表題通り、なにを食べたらいいのかと、その選び方について書かれています。

食品添加物を大量に食べている現状は良くない

食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』と書かれていることとスタンスは同じです。子供や親の反応、外国人の話などから食品添加物の不気味さや気持ち悪さを伝えています。

たしかに白い粉だけで味が作れてしまったり、価格や見た目、保存期間などこだわるために食品添加物が活躍して、食材そのものをなおざりにしていることは良くないことでしょう。

しかし、科学的な根拠は書かれていません。そのため説得力がなく、そういうスタンスで商売をしている人が書いた本なんだという印象が強いです。

とはいえ、食品添加物の力で塩分、糖分、油分を大量に食べていることは事実です。情緒的な表現を減らし、不確かなところは事実の積み上げで書いてくれれば印象は変わったと思います。残念です。

アベ社長のエピソード

105ページから「もし著者がお惣菜会社の社長だったら」という話は印象的です。著者の経験に話を盛って作られたのだと思いますが、ここでは悪意を感じます。

販売、製造会社だって、消費者だって望んでいることを食品添加物はすべて解決しているのに何を言っているんだと開き直っている感が強いです。

食品添加物を問題視しているくせに、そのメリットは100%受けたいという消費者へのカウンターなのかもしれませんが、読んでいて気持ちの良いものではありません。

結局のところ、「なにを食べたらいいの?」

202ページのひふみの原則を引用します。

「ひ」、非伝統的なものは食べない
「ふ」、不自然なものは食べない
「み」、未経験なものは食べない

食品添加物は数が多く、個々で摂取した場合もそうですが、複合で摂取した場合も本当に健康被害がないのかというと分からないことが多すぎます。科学的根拠が無いではなく、調べてきれていないけどたぶん大丈夫というのが食品添加物の現状です。

そういうわけで、「なにを食べたらいいの?」というのは、食品添加物をどう捉えてるかでしょう。問題ないから気にしないで食べる、問題あるから食べない、問題あるかもしれないから減らすは人それぞれです。

私は最後の問題あるかもしれない派なので、このひふみの法則には納得できます。同じ章で著者も語っていますが、食生活に関しては保守的で頑固であってもよいはずです。

保守的で頑固な食生活は、近藤正二『新版 日本の長寿村・短命村』や幕内秀夫『粗食のすすめ 新版』で勧められている食生活が参考になります。

さいごに

食品添加物にはメリットもあればデメリットもあります。どこまで許容できるかは人それぞれです。許容できないならひふみの法則に則って食べればいいでしょう。

とはいえ、問題提起と不安を煽ることは別です。そういう意味で残念本です。

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