逆さ歴史で語られる生きる意味『チグリスとユーフラテス』
本の情報
- 書名:チグリスとユーフラテス
- 著者:新井素子(あらいもとこ)
- 解説:大沢在昌
- 初版:2002年5月25日
- ISBN:(上巻)4087474402/(下巻)4087474410
- 発行所:株式会社集英社
1999年第二十回日本SF大賞受賞。
本書は、1999年2月に刊行されたものを、上下巻に分冊・文庫化したものです。
目次
- 上巻
- マリア・D
- ダイアナ・B・ナイン
- 関口朋美(トモミ・S・ナイン)
- あとがき
- 下巻
- レイディ・アカリ
- あとがき
- 解説 大沢在昌
あらすじ
人類は地球から惑星ナインへ移民をした。一時繁栄した惑星ナインだが、原因不明の出生率低下が続き、ついに「最後の子ども」ルナだけが残されてしまう。最後になったルナはコールド・スリープについた人たちを起こし、そして問いかける。惑星ナインの逆さ年代記。
感想
タイトルから歴史物と思われますが、あらすじの通り歴史物というよりもSFなのと、著者独特の文体が予想外のものだったので、随分と意表をつかれました。
話は徐々に歴史をさかのぼっていきます。その時々に起きた問題を、女性と出産にしぼる形で、彼女たちの時代と立場ごとの考えが端的に示されています。そこに七十三歳の最後の子どもが意地悪な質問をぶつけていく様は圧巻です。
「最後の子どもと分かっていてなぜ産んだのか」「生きることの意味は何なのか」問いかける内容は強烈です。とはいえ彼女たちは、ストレートというか、感情を爆発させたようなやりとりでその哲学的な内容に答えています。それがまた面白くもあり、食傷気味でもあります。