キャスターニュースの歴史と舞台裏『ニュースキャスターたちの24時間』
本の情報
- 書名:ニュースキャスターたちの24時間
- 著者:嶌信彦(しまのぶひこ)
- 初版:1999年1月20日
- ISBN:4062563177
- 発行所:株式会社講談社
本書は、1995年4月に刊行された『メディア 影の権力者たち』を改題し、再編集を加え、文庫化したものです。
目次
第一章 決断――「ニュースステーション」に賭けた男たちの挑戦
- 久米宏の手が震えた
- 「自殺行為」に見えたプライムタイプの生ニュース番組
- イヤな予感に襲われたチーフ・プロデューサー
- 「公募キャスター・若林正人」の苦悩
- 久米宏が怒った「鮭中継」
- 「オフィス・トゥー・ワン」海老名社長の口説き文句
- 独立を決心した酒席での秘話
- 「磯村尚徳」流キャスターへの挑戦
- 前代未聞のニュース番組の「電通買い切り」
- テレビ朝日・小田久栄門とCNNの“運命の出会い”
- 強い抵抗にテレビ朝日社長が自らのクビを賭けた
- 情報漏れを防ぐため、喫茶店から指示が出された
- ブラウン管から消えた久米の捨て身の決断
- 小田久栄門は「このままではつぶれる」とつぶやいた
第二章 確執――“キャスター・ニュース”を花開かせた「NC9」の興亡
- 「NC9」は正規軍、「ニュースステーション」はゲリラだ
- 「NC9」の最大の功労者はNHKの“ゴッドファーザー”
- すべてが新しかった「NHK特集」
- 「前畑ガンバレ!」は放送の原点
- 前田義徳NHK会長の「時期尚早」という正論
- 島桂次記者と鈴木健二アナウンサーの衝突に見る当時のテレビ観
- 守旧派が反発した「中秋の名月」事件
- 日本のエド・マローをめざした磯村尚徳
- 「NC9」内部での番組派VS.報道派の反目
- 「ちょっとキザですが」の本当の狙い
- 画期的だった長嶋引退と田中角栄記者会見の放送
- アメリカ三大ネットのニュース戦争
- 木村太郎のキャスター初日の二つの“幸運”
- 「NC9」、そしてNHKのキャスター・ニュースの閉幕
第三章 選択――低迷のなかの対立を制した“数字”の威力
- 早河洋プロデューサーの懸念どおりの低空飛行
- 「オフィス・トゥー・ワン」とテレ朝報道局の対立
- チャレンジャー号爆発とマルコス政権崩壊がすべてを救った
- 大きかった小林一喜の存在
- 本意ではなかった小宮悦子の突然の異動
- コント55号からヒントを得た久米宏
- 本領発揮された“天の邪鬼”
第四章 挫折――新報道番組に揺れる“報道のTBS”の苦闘
- 田英夫、無念のTBS「ニュースコープ」降板
- たった七人の報道局から“報道のTBS”へ
- キャスター・ニュースの先駆けとなった「ニュースコープ」
- 「アメリカ大統領歓迎」広告を断固拒否
- NHKも舌を巻いたTBSの報道ドキュメンタリー
- 自民党の攻撃に屈したTBS闘争
- フジテレビ「スーパータイム」の独壇場となった“川上慶子さん”
- なりふりかまわぬキャスター争奪戦
- TBS最後のカードとなった森本毅カ
- NHK時代に「ニュースワイド」で経験した森本の不安
- 「ニュースステーション」との差別化への葛藤
- 森本とスタッフ間にミゾができて……
- 「プライムタイム」は二年で撤退
- TBS復活へ筑紫哲也の決断
第五章 衝撃――政治権力介入とテレビの影響力拡大をめぐる攻防
- 自民党の「ニュースステーション」叩きに対する“椿発言”
- 梶山静六のテレビ朝日への怒り
- 細川政権は“久米・田原連合政権”
- “椿発言”をリークした十三人目のユダ
- 政治によるテレビ局支配とマスコミ界の足並みの乱れ
- 田中角栄が先鞭をつけた郵政族議員の許認可権限
- 衛星放送、ケーブルテレビの普及で矛盾に直面する放送法
- 佐藤栄作、中曽根康弘、細川護煕のテレビ・パフォーマンス
- テレビの威力に無自覚なテレビ局
- アメリカの作家と元大統領によるテレビに対する問題提起
- テレビ局の論理と個人の生き方の間で揺れるキャスターたち
- TBS社長の損失補填本題に筑紫哲也が“指揮権”を発動
第六章 混迷――視聴率とカネに翻弄されるニュース番組の行方
- 「たけし会見」に見る各局のニュース作りへの計算
- 「宮沢りえ破局会見」がニュース番組に投げかけた波紋
- ニュース番組も視聴率戦争の最前線に
- フジテレビ・鹿内改革でニュースも“軽チャー路線”に
- そしてついにニュースは“商品”になった
- 視聴率重視が引き起こした“やらせ”事件
- 「知る権利」というより、もはや「のぞき趣味」
- “カオスの渦”に投げ込まれた日本のテレビニュースの行方
第七章 転機――巨大さゆえの未成熟に対するニュース仕掛け人たちの迷走
- NHKニュース報道、十九年目の大方向転換の意図
- 教科書的な役割を担わされた「ニュースステーション」
- 久米宏、小宮悦子らが抱きはじめた危惧
- キャスターのコメント権、編集権をめぐる暗闘
- 女性キャスターの草分け、田丸美寿々の方法論
- フジ、日テレ、TBS、それぞれの新戦略
- ニュース番組も視聴者多様化時代に?
- 「阪神大震災」から各メディアが学んだ教訓
- 二十一世紀のテレビをめざすために
- 文庫版あとがき
あらすじ
キャスター制のニュース番組はどのように生まれ、育ち、力を持つようになったのか。キャスター制ニュース番組の勃興から巨大権力に至るまでの道のりと、その問題点とは何なのか。
感想
NHKのNC9はアメリカのキャスターニュースを参考にし、七時のニュースを相手に番組作りに悩み続ける。ニュースステーションはそのNC9を相手に同じように悩み、他のニュース番組はニュースステーションを相手に同じように悩み続ける。
そうして切磋琢磨していく姿から、ニュースがどのように変わっていったのかがよく分かります。それらの話は非常に興味深いものばかりで、ニュース一つ伝えるだけでもどれだけの苦労をしているかが分かります。
さらに、巨大な未成熟メディアとなり、“第四の権力”とまで言われるようになる道のりは、テレビの苦悩とその難しさがどのようなものか分かります。
第四章まではキャスター制ニュース番組立ち上げの苦労話であり、それ以降は権力となってしまったテレビの苦労話です。キャスター制ニュース番組の歴史と舞台裏に興味のある人ならば、楽しめる一冊だと思います。