「 2016年09月 」一覧

[読書雑文]『狂気の科学』レト・U.シュナイダー(訳)石浦章一・宮下悦子

『狂気の科学』レト・U.シュナイダー(訳)石浦章一・宮下悦子を読みました。原題は『Das Buch der verrückten Experimente』です。副題は『真面目な科学者たちの奇態な実験』です。

1600年から2002年までの様々な実験についての科学コラム91選です。

ノーベル賞を受賞した実験もあればイグノーベル賞を受賞した実験もあります。しかしほとんどの実験は賞と関わりはありません。

取るに足らない実験や呆れるような実験、倫理に問題のある実験、なぜその実験をしたのかよく分からない実験など、様々な実験の話がまとめられています。これらの実験は題名の『狂気の科学』というほど狂気ではなく、副題の『真面目な科学者たちの奇態な実験』がふさわしい内容が多いです。

真面目な科学者たちの奇態な実験

どのような実験でも実現させるために測定をして、定量的データをとり、再現可能であることを示すために様々なアプローチを行います。端から見ると滑稽にみえる実験でもそのような科学アプローチを取る様が副題に凝縮されています。

これら実験をゴシップ的に楽しめるだけでなく、試行錯誤を繰り返している科学者の周辺を知ることができます。さらに、派手な成功例だけでは分からない、試行錯誤の繰り返しの積み上げがあってこそ科学なんだとも分かるでしょう。

中性から現代までの科学者たちの奇態な知的冒険100選

ちなみに帯には「中性から現代までの科学者たちの奇態な知的冒険100選」とありますが、数えると91選しかありません。

キリがいいから100にしたのか、数えて分かるオチとして100にしたのか。何か意味があったのでしょうか。


[読書雑文]『本棚にもルールがある』成毛眞

『本棚にもルールがある』成毛眞を読みました。副題は『ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか』です。

成毛眞が考える理想の本棚とはどういうもので、どのようなルールで本棚を管理しているかについて書かれています。

その他にも、関連して本の買い方や読み方、HONZでの書評の書き方にも触れています。

理想の本棚とは

理想の本棚を知識のアップデートとバックアップができる場所として効率良く知識と情報を引き出せる場所と位置づけています。

そのためのルールとして、見やすい本棚と2割の余白のある本棚をつくること。未読用の本棚、中心となる本棚、辞書など参照する本棚の3つに分けることとしています。

ズバ抜けて頭がいい人ではないけれど

私はズバ抜けて頭がいい人ではありません。しかし、似たようなことをしている身としてはこの運用方法は理解できます。

未読既読限らず本棚にジャンル別で本を並べる作業をすることで、読むだけでは分からないつながりがふと頭に浮かんでくることがあるからです。頭の中の点と点がつながるイメージです。

さらに、本棚を眺めたり本を並べたりしながら次の本を選ぶ作業というのは楽しいからです。

本棚が単なる本置き場になっているのはもったいないです。本書を参考に本棚のマネジメントをすれば、きっと新しい発見があるでしょう。


[読書雑文]『自分の体で実験したい』レスリー・デンディ、メル・ボーリング(訳)梶山あゆみ

『自分の体で実験したい』レスリー・デンディ、メル・ボーリング(訳)梶山あゆみを読みました。副題は『命がけの科学者列伝』です。原題は『GUINEA PIG SCIENTISTS Bold Self-Experimenters in Science and Medicine』です。

自分の体で試すことを決意した科学者と医学者たちの10編の物語です。

原書はアメリカで子ども向けの書籍として出版されています。対象は小学校中学年〜中学生です。そのため大変読みやすいです。

ケレン味のない淡々とした記述

自分の体で実験をしようと決意した背景や、実験の風景とともに描かれる記録、結果、そしてその後の発見につながる話が書かれています。

書名の『自分の体で実験したい』から感じ取れる無茶な姿は全くなく、ケレン味はありません。感動を演出するようなこともありません。淡々とした記述になっています。

それでいて知的好奇心が満たされるので退屈しません。

本書は全米科学教師教会主催の優れた子ども向け一般科学書に贈られる賞を2006年度を受賞しています。他の候補作が何だったかは分かりませんが、その賞が贈られるのも納得の内容です。

対象読者の幅は広い

実験があったから当たり前になったことはたくさんあります。その一端を、基礎知識がなくても理解できます。さらに巻末には、紹介しきれなかった年表もついています。

本書を読むことで、科学と医学の世界は広がるでしょう。


[読書雑文]『本は10冊同時に読め!』成毛眞

『本は10冊同時に読め!』成毛眞を読みました。

紹介されているのは並列して本を読む読書術です。紹介するスタイルは高飛車かつ独善的です。

著者の高飛車かつ独善的なスタイル

表紙には「本を読まない人はサルである!」と書かれ、はじめにでは「庶民から抜け出すための読書術」と書かれています。随分と高飛車かつ独善的な紹介方法です。

著者の高飛車かつ独善的に語るスタイルは好き嫌いが出ます。しかし、著者は日本マイクロソフトの元社長であり、HONZの代表であるため、そのスタイルが似合っています。

高飛車に独善的に庶民を煽るスタイルは一種のエンターテイメントです。庶民から脱出するかは別にして、多読並列スタイルの本好きは自尊心がくすぐられるでしょう。

ちなみに内容は、場所によって読む本を変える並列ならぬ超並列の読書術のことが書かれています。

並列・多読のメリット

この読書術のメリットは三つあります。
一つ目は脳が刺激されるためバランス感覚や多角的視野が培われることです。二つ目は一冊飽きれば別の本に手を出せる環境なので多読が出来ることです。三つ目は読む長さや時間は限定的なので集中して読めることです。

帯に書かれている「“速く・深く・多く”読める一石三鳥の読書術!」はここから来ています。

全く異なるジャンルの並列読みは難しい

沢山の本を読むだけなら簡単ですが、知識の定着と活用は難しいです。なぜならば、ジャンルごとの知識がないと頭に入ってこないからです。

集中して読むことや刺激ある内容から知識が得られればその問題は解決できるかもしれません。ある日突然、そのタイミングでなにかが形になるかもしれません。

しかし、何かのトリガーがないと点と点はつながらないものです。そもそも点にならないこともあります。

並列しますかしませんか

読書時間と集中力、幅広いジャンルの知識を有したいかで決めればいいでしょう。

専門家になるなら別ですが、何事もバランスが大切です。全く異なるジャンルを読むにしても、そのジャンルに関心を持ったきっかけさえ忘れなければ、知識は定着しやすいからです。

そうすることで知識の幅は広がり、知識と知識がつながり、かさなり、新しいアイデアを作り出せるかもしれません。

このような消極的賛成では、「だから庶民なんだ」「本を読み足りない、選んだ本が間違っているから刺激を受けないんだ」と著者からご指摘を受けてしまいそうですが。


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