「 読書雑文 」一覧

[読書雑文]『英国一家、日本を食べる』マイケル・ブース(訳)寺西のぶ子

『英国一家、日本を食べる』マイケル・ブース(訳)寺西のぶ子を読みました。原題は『Sushi and Beyond: What the Japanese Know About Cooking』です。イギリスのトラベルジャーリストであり、フードジャーナリストである著者が、家族とともに100日間日本に滞在して様々なものを食べ歩くエッセイです。

日本の食はどう見られている?

面白いかというとそれほどではありません。日本の食事というのはそういう見方をされているというのが分かります。

食事の内容は庶民的な食べ物よりも、庶民では食べることも行くこともできないようなところが印象的でした。そのため、庶民では知ることの出来ない日本料理の本質が分かるのではないでしょうか。

イギリス的なジョークとユーモア

著者の表現方法はイギリス人風といえばいいのか、独特の言い回しです。対象となる読者層は日本人ではないのでしょう。日本人からすると解説する必要がないところも解説しており、ややくどく感じるところがあります。

イギリス的ジョーク、ユーモア、事情が分からない、もしくは偶然なのかわざとなのか分からないネタを笑って受け止められないと面白くありません。むしろ不快です。

著者は何者?

それにしても著者は何者なのでしょうか。庶民では行けないところ、会えない人物との関わりが多いです。よくコーディネイトされているともいえます。

ジャーナリストとしての側面なのか社会的主張がいくつかあります。スマップとアイヌのくだりは著者が調べて体験した上での主張なのか、コーディネイトした人たちの主張なのかが分かりません。

そのように色々考えると無邪気に楽しめないですね。


[読書雑文]『天才たちの日課』メイソン・カリー(訳)金原瑞人・石田文子

『天才たちの日課』メイソン・カリー(訳)金原瑞人・石田文子を読みました。副題は『クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』です。原題は『DAILY RITUALS:How Artists Work』です。芸術家、作家、学者など「〜家」、「〜者」、「〜人」などの字が職業となる人たちはどのような日々を過ごしてその創造力を生み出していたのでしょうか。かれら161人分の日常について簡単に書かれています。

創造力を蓄えるなにか

ほとんどの人にとって創造力というのは机の前に座っていれば自ずと内面からこみ上げてくるものではなく、何かしらの刺激によって力を蓄えています。

刺激は日常の細々したことと今までの蓄積の組み合わせです。日常の細々したことはなんでもよいようで、運動や人付き合い、他の仕事など実に様々です。

刺激から得た何かを蓄えるわけですが、メモはとったりとらなかったりです。頭のメモ帳が優秀なのか、そもそもメモをとるのは当たり前なので記事になっていないのかもしれません。

力を出す時間を確保する

細切れの時間でどうにかするという人もいないではないですが、多くの人はまとまった時間をつくるために苦労していることがうかがえます。そのための朝型、夜型、人との付き合い方などがあり、これも人によって様々です。

力を出す何か

創造力を蓄えるなにかから連続していますが、コーヒーやタバコ、ちょっとした儀式をしている人が多いように思います。机に座り、ペンを握るだけですぐに力を出せるわけもなく、何かしらのやる気スイッチがあることも分かります。

あふれるほど力が貯まっていなくてもなんとかしないといけないわけですが、そのスイッチは人によって様々です。中には「借金取りに追われているから」なんて人もいます。

ライフハックの記事のような

どれもこれもライフハックの記事を見ているようでした。天才とはいえぱっと何かを思いついて細切れ時間でなんとかできるという超人はいません。皆、苦労をしていることが分かります。その苦労の中でなんとかしているからこそ天才としての素地を開花させているのでしょう。

統計的にまとめられた項目はありません。161人もの事例を一次資料、二次資料から集めたのですから、統計的にまとめた項目が欲しかったです。これはちょっと残念です。

そのため、もし自分に置き換えて考えるならば、161人の例をくまなく当たり、自分の習慣に相応しいものを見つければよいのではないかと思います。また、ライフハック的な記事で習慣ネタを書くのであれば、161人の例は引用をするためのネタになるでしょう。

例えば「作家の某は執筆時にコーヒーを多量に飲むことから、コーヒーには……以下略」といったように。


[読書雑文]『つながらない生活』ウィリアム・パワーズ(訳)有賀祐子

『つながらない生活』ウィリアム・パワーズ(訳)有賀祐子を読みました。副題は『ネット世間」との距離のとり方』です。原題は『Hamlet’s Blcakberry』です。

つながりの技術革新のたびに人はつながりに悩んでいました。プラトン、セネカ、グーテンベルク、ハムレット、フランクリン、ソロー、マクルーハンの七賢人、そして著者の経験から語られる過度なつながりで失われるものとは何か、どのような対処法をとっていたかについて書かれています。

温故知新

本書のいうつながり過度に陥っているならば、スマホとSNSにより作られたつながりで失っているものがあることに気づきます。このつながり全盛期にあえてつながらないことを、著者と偉人たちを例に書かれているところが面白いところです。

過度なつながりへの対処法

静かなところへ行く、空間を作る、目の前のことに集中するなどありますが、要は騒がしい世間と適度に距離をおいて生活するということです。当たり前といえば当たり前のことなのですが、そのために七賢人がどのようにしていたかを読みながら自分に当てはめてみると、やっているようなやっていないようなことに気づきます。

ネットワーク上のつながりに時間を使いながらでも猛然と創造、対処できる人ならば気になることはないでしょう。しかし、慌ただしすぎてゆっくり考える時間がなかったり、考えが浮かばないことが増えたように思うなら、本書の処方箋のいずれかを試す価値があります。

過度なつながりで失われる「深み」と「間」

本書では「深み」や「間」と表現していますが、一つのことを終えたあとにやってくる余韻、感慨であるとか、何気なく考え事をしてひらめく瞬間のことを総称しています。

時間がないほど忙しすぎると頭はまわらなくなりますし、心にも余裕が無くなります。それをわざわざ自分で招く必要はないはずです。

必要なのは適度につながらないというバランス

なんでも直感的に、即座に反応していると精神的に疲れてきます。落ち着いてゆっくりと振り返ることで得られるものについて考えてみる生活も悪くありません。

スマホとSNSの組み合わせは隙間時間すらも奪ってしまいます。逐次チェックする必要がある情報なのかを一度考えてみると、そのバランスに答えは出るはずです。

この記事を書くのもそのような余韻を必要としています。即座に書くと「なんとなく面白かった。」くらいにしか書けませし、休む暇無く乱読すると内容すら思い出すことが出来なくなることもあります。

一歩踏み込むためには考える「間」が必要なことに気づかされます。その「間」を使って考える、思い出すことで、体験したことは血となり肉となるはずなのです。


[読書雑文]『本は死なない』ジェイソン・マーコスキー(訳)浅川佳秀

『本は死なない』ジェイソン・マーコスキー(訳)浅川佳秀を読みました。副題は『Amazonキンドル開発者が語る「読書の未来」』です。原題は『Burning the Page: The eBook Revolution and the Future of Reading』です。

アマゾンで第1第2世代のキンドル開発プロジェクトに携わりエバンジェリストも務めたのち、アマゾン退社後はグーグルへ転身した経歴を持つ著者によって、新しい読書の世界「Reading 2.0」について書かれています。

Reading 2.0はつながる読書である

電子書籍は本以上のものを与えてくれます。つながりこそが電子書籍革命なのだそうです。世界で一冊の本に様々なコメントが書き連ねることで皆がつながっていく、Facebookの読書版だと著者は言います。

「独りで楽しむ読書」から「みんなでつながって楽しむ読書」にかわることでたしかに読書は面白くなるでしょう。読み終えればその本で検索として他の人がどのような感想を持ったか調べるわけですが、それが簡単になるなら良いことだと思います。

コメントでつながる読書の世界

一冊丸ごとでなくても気に入ったフレーズに「いいね!」をつけることもあれば、意見をつけるもあるでしょう。そこからさらにコメントが広がることもあるでしょう。そのようにして読書にはさらなる知識と人間関係があるというのは面白いです。

最初はコメントをオフに自分のコメントや「いいね!」をつけながら読む。次にコメントをオンにしてつながりを感じる。Reading 2.0はそういう使い方になるのでしょう。

リンクでつながる読書の世界

とはいえ、読書がウェブサーフィンのようにあちらこちらのリンク先を読むようになれば、随分と散漫になるはずです。複雑に広がるハイパーリンクの良い点であり悪い点なのですが、そのことについては触れられていません。ただ「素晴らしい」とあるのみです。

まとめサイトやWikipediaのように、興味のわくままに次々とリンク先を読み進めたけれども特に得るものが無く時間だけが過ぎていた。Reading 2.0はそういう読書になる可能性があります。Reading 2.0は今までよりも自制心が試される読書になりそうです。

電子書籍とReading 2.0

電子書籍でなければReading 2.0はできません。しかしながら現在の最良の選択により作られた電子書籍リーダや電子書籍の仕組みは、紙の本に比べて残念なところが多いです。

つながることの付加価値が紙の本の利点を上回ると感じる人が増えればReading 2.0は広がるでしょう。

「紙の質量による満足感は素晴らしく、置き場所と価格では電子書籍優位にはならない」、「電子書籍は絶版本用」と考える私にすればReading 2.0は時期尚早かなと思います。


[読書雑文]『書籍文化の未来』赤木昭夫

『書籍文化の未来』赤木昭夫を読みました。副題は『電子本か印刷本か』です。電子本が産まれた土壌と電子本のメリット・デメリットについて書かれています。

電子本が産まれた土壌となったグローバリズム

不況の中、伸びているのが著作権産業であり、大手出版社は多国籍企業のごとくさらに巨大になり、中身は別として大量に本を売ろうとしている姿など、非常に大きなスケールで出版業界のことが書かれています。その他には、大手出版者とアマゾンとの関係に代表されるリアルとネット、印刷本と電子本と解説は続きます。

出版はグローバルな大きさの著作権産業ではどのようなポジションにあるかを金額付き解説されているため、非常に説得力を感じました。

電子本のメリット・デメリット

電子本といえば電子書籍リーダーの使い勝手や取り扱い書籍の量、価格のことが話題になることが多いですが、本書では電子本のメリット・デメリットのトレードオフとして七点を挙げています。

私はソニーのリーダーを買う前は、電子書籍リーダーがどのような使い勝手なのかは個人のブログやニュースサイトを見て色々と悩んでいました。そうした結果、ソニーのリーダーを選びました。

しかしながら、本書を読んでからはそのようなブログやニュース記事を読みあさる前に本書を読めばよかったと思いました。本書はそれだけ簡潔で分かりやすいです。

私は電子書籍リーダーを買うにあたって長時間読んでもパソコンやスマホのように目が疲れないかを重視していました。ネットではE-inkだからくらいしか感想が見つからなかったのですが、本書の視認性の解説は、実際に使った感想そのままが数字付きで解説されていたので非常に良かったです。

「やっぱりそうなんだ」と、腑に落ちました。

電子書籍リーダーを買う前に読んで欲しい一冊

電子書籍リーダー自体それほど高くありませんし、スマホやタブレットでいきなり体験してもいいですが、電子書籍リーダーを考えているならば、買う前に読んで欲しい一冊です。

ちなみに私は自炊した本をリーダーで読んでいましたが、今は印刷本に戻ってしまいました。それでもリーダーで読むこともあるので、「電子本と印刷本の共存」という本書の結論と同じ結論になりました。


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