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[読書雑文]『ぼくはこんな本を読んできた』立花隆

『ぼくはこんな本を読んできた』立花隆を読みました。副題は『立花式読書論、読書術、書斎論』です。

知的好奇心、体験的独学論、実践的な仕事と一般教養の読書十四条、私的書評論、本の保管、仕事用の机、読んできた本の振り返り、幅広いジャンルの読書日記など、立花式がこれでもかと詰め込まれています。

著者は本のためにビルを建て、秘書を雇い、さらにひたすら本を読み記事を書いています。本に囲まれる生活をしている人や、そのような生活に憧れる人からすれば、著者の語る本にまつわる様々な話には大いに好奇心がくすぐられるか圧倒されるでしょう。

あくなき知的欲求

知的欲求を実用と純粋の二つに分け、自身の知的欲求を説明しています。

「知りたいから知りたいんだ」「知ることはすべての生物の基本的な欲求なんです」と著者は語ります。知的欲求に対する子供のような無邪気さと、ただひたすらに求めるがままに吸収しようとする貪欲さには驚かされました。

読書術

その結果が資料として大量にある本です。知的欲求を満たすための読書術として書かれている内容は、効率的に特定の内容を知る方法です。その方法として関連ジャンルの本を大量に読むやり方について書かれています。

たしかに大事な内容はどの入門書にも共通しています。何冊も読めばどこかで見たことある内容を見かけます。書き方は異なっていたとしても何度も読むことと変わりません。一冊をていねいに読んでノートなどとるようなことはせず、ひたすら本を読むべきとしています。

膨大な本を背景に語られる読書術は強い説得力があります。

書評について

本を手に取る価値があるかどうかが端的に書かれている書評が必要だとしています。情報は最小限、語り手の身辺状況など不要とばっさり斬っています。

読書日記はたいへんシンプルです。書評についてもやもやとした考えがあった中、このようにはっきり言いきられるとたいへん気持ちよかったです。ちなみに小説書評はありません。これは著者がフィクションをほとんど読まないためです。


[読書雑文]『ニッポンの書評』豊崎由美

『ニッポンの書評』豊崎由美を読みました。豊崎の「崎」は別の文字なのですが、環境依存文字なので「崎」としています。

ニッポンの範囲は雑誌、新聞、インターネットです。書評は小説書評です。

内容は、書評の役割、面白さ、文字数、外国との違い、ネタバレ、カスタマーレビュー、著者流書評の書き方、対談で語られる昔の人の書評に対する思いなど多岐にわたります。

ブログなどで書評を書いている人で、ふと「書評とは?」と悩むことがあるならば、一つの意見として読む価値はあります。

著者の書評観、一つの意見として

著者は書評を「小説を乗せた大八車」としています。両輪は作家と批評家、前で引っ張るのが編集者、後ろで押すのが書評家と、それぞれの役割を設定しています。

書評は対象作品を読む前に読むものとしています。読者を楽しませることを第一優先とし、その効果を狙って書いたであろう作者の意図を書くことを第二優先にしています。

ネタバレなど、誇示のような「ひけらかし書評」や、読者を無視した「贈与書評」に厳しい目を向けています。

取り上げた本の魅力を伝える文章であり、読者が読んでみたいという気持ちになる内容が書評です。自分の考えを伝える容れ物ではなく、作家の機嫌をとるためのものでもないとしています。

匿名は安全地帯としています。的外れな批難が多いためか、匿名には厳しいです。

著者の考える小説書評とは何か

出版業界に向いて語るならば書評は応援です。読者に向いて語るならば書評は読者を楽しませるものです。同業者のようなレビュアーに向いて語るならば、書評は責任をもって書くものです。

書評の最終的な目的が紹介した本を読んでもらうことであれば、この結論は必然です。


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