[読書雑文]『ママは何でも知っている』ジェイムズ・ヤッフェ(訳)小尾芙佐

『ママは何でも知っている』ジェイムズ・ヤッフェ(訳)小尾芙佐を読みました。原題は『Mom’s Story』です。

あらすじ

刑事のデイヴィッドは妻を連れ、実家のママを訪れます。ディナーで話されるのは捜査中の事件の話です。人生経験豊富なママは、刑事のデイヴィッドと知的な妻では見えなかった真相を突き止めます。

探偵役のママと同じ土俵で推理ができる

安楽椅子探偵ものです。デイヴィッドが話し、ママが質問し、妻が突っ込みます。そうした会話と質問から新しい情報が分かり、真相に近づいていきます。

ママと同じ土俵で推理を楽しむことができます。残念ながら私たちは1950年代から1960年代のアメリカはブロンクスに居るわけではありません。その点では不利ですが、大いに推理合戦をできるのではないかと思います。

探偵役のママに魅力を感じるか

一番のポイントはママです。無関係そうな周辺の話をよくしゃべり、決してひかない強さと皮肉な切り返しをするママのおはばん力は高いです。

私がデイビッドだったら冷や冷やしっぱなしで推理どころではありません。しかし、語り部のデイビッドはこのような実母と嫁のなんとも心温まる不穏なやりとりをうまくかわしています。(そしてそこで熱くなることなく受け流します。出来た嫁です。)

そのようなやりとりがあっても事件は解決するので刑事たるデイビッドには良いのでしょう。しかし、このような実家でのディナーはごめんこうむりたいのが正直なところです。

よくしゃべり、冴える推理をし、息子の妻とは心温まる不穏なやりとりがあっても険悪にならない状況が本書の魅力だと思います。題名通り「ママは何でも知っている」ため、ママの名推理を楽しむも良し、心温まる不穏なやりとりを楽しむも良しです。

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