[読書雑文]『詐欺の帝王』溝口敦

『詐欺の帝王』溝口敦を読みました。「オレオレ詐欺の帝王」から詐欺の世界について聞き取ることが出来た電話だけでできる詐欺と裏社会について書かれています。

「オレオレ詐欺の帝王」から詐欺の世界について聞き取ることが出来たとありますが、あくまで「聞き取ることができた話」です。そのような形で書かれているためか、全体的にぼやけているように感じました。

うすぼんやりした帝王の話と細かい暴力団関連の話

帝王自身がどうやったのかというが具体的に書かれておらず、他の詐欺師がやったことを帝王もやっていたかのような書き方です。またネットの情報ではという表記もあり、伝聞をそのまま文章にした感じが否めません。

その一方で暴力団の人事はしっかりと書かれています。暴力団の人事の結果、帝王のもつ裏社会との連携が強化され、帝王の凄さを表現しているのかもしれません。それでいて、帝王は妙に良い人のように描かれており、そのちぐはぐ感が最後まで残りました。

書けないことが多くあったのでしょうし、本当に帝王は犯罪者ですが良い人の点もあったのかもしれません。それでもこのような内容では架空の人について書いているようにしか思えなかったです。

様々な詐欺師たち

帝王からの聞き取りと著者の取材の結果が様々な詐欺師たちの詐欺内容です。これらも表面をなぞったような内容ばかりで、登場人物たちの息吹を感じることができませんでした。

詐欺師たちを通じて電話一本でできる詐欺の世界の広がりが表現されているともいえます。あの手この手の詐欺の道具や変化は「へ〜」と感じる雑学レベルです。現実に起きていることのはずなのですが、現実感のないなんとも不思議な内容でした。

書ききれていない?

裏社会というつながりがあるとはいえ、暴力団関連がフィールドであろう著者がシステム詐欺について書くのは荷が重たかったのではないかと思います。

言い換えると、著者がそれだけ苦労するほど今までの常識が当てはまらない世界で犯罪は進化しているということなのかもしれません。

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